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柏餅はなぜ子どもの日に食べる?葉っぱは食べていいのか?関東と関西での違いはある?
柏餅は、4月中旬から5月5日の「子どもの日」まで、和菓子屋さんをはじめ、スーパー、コンビニで売られています。(※和菓子店では5月いっぱいまで販売しているお店も多い。)
桜の花と桜餅が終わった…と思ったら、和菓子屋さんは、もう柏餅に変わってしまいます。
季節の移ろいを和菓子の世界でもきっちりと感じるのは楽しいことです。
柏の木は、普段、見かけますか?
桜の木と違って、柏の花を愛でるのでもないですよね?
鯉のぼりや兜ともあまり関係ないような気がします。
なぜ、端午の節句には柏餅なんでしょうか?
桜餅は、桜の時期なので、非常にわかりやすいですが、なぜ5月5日には柏の葉で包んだあんこの入ったお餅を食べるのでしょうか?
今回は、柏餅についてお伝えします。
柏餅の起源と歴史!
柏餅の習慣は、主に江戸で盛んになりました。
18世紀半ばからです。
柏は、もともと食べ物を包むことに長けており、古代から活用されていました。
また、「柏手(かしわで)」というように、神社でお祈りをするときに、手をたたきますが、その行為の名前に「柏」がついています。
これはなぜかというと、柏の木には、神様が宿る、と信じられていたからです。
柏は、さらに、次の春に新しい葉がそろうまでは、落葉しないという特性があります。
それが、「家が代々続く」という縁起がよいことと繋げられ、柏餅は縁起のいいものとなりました。
餅自体も縁起があります。
本来の柏餅は平たく丸めた上新粉の餅の間にあんこをはさみます。
その行動が、手を合わせるのに似ているので、この点でも縁起がいいとされたのです。
こうして、江戸中期に、様々な縁起を担がれた柏餅。家運隆盛を願う武家から好まれ、参勤交代で日本中に広まったのもうなずけます。
武家の家運隆盛を願うものなので、端午の節句、つまりは男の子の節句に食べることになっていったのですね。
端午の節句から「子どもの日」へ
鎌倉から江戸時代にかけて、端午の節句は、男の子の健やかな成長を願う行事でした。
戦後になり、子どもの日の制定が希望される中、最も候補になったのが、端午の節句の5月5日だったそうです。
制定されたのは1948年のことでした。
柏の葉の使い方!時代の違い!そして現代は?
柏餅の葉の使い方が、昔と今では違っています。
旧暦の時代は、新しい柏の葉を使っていました。(現代では6月の上旬になる。)
明治に、太陽暦の新暦になり、約1か月前にずれる(今の5月上旬)ので、新しい柏の葉が間に合わなくなる事態になりました。
なので、前年の柏の葉を蒸して殺菌、乾燥させ保存し、柔らかく煮て次の年に使うようになりました。
そのため、柏の葉の色が茶色くなることになりました。
現在は真空パックの技術が発達したので、緑のまま保管が可能になりました。
しかし、わざと茶色にしたり、裏返しに使ったりして、柏餅の内容によって色を変えたりしているそうです。
(近所の和菓子屋の柏餅三種。左の茶色の葉は、右端の葉の裏返しで使っている。真ん中は、緑の葉。)
(奥のピンクが味噌あんで茶色の葉を表にしている。真ん中はつぶあん。手前はこしあんで、葉は裏返しに使用している。)
柏餅の葉は、関東と関西では違っている!?
東京は、柏の木の葉です。
しかし、日本全国に参勤交代で広まった風習とはいえ、柏の葉が手に入らないところもありました。
(※近所の柏の木です。2019年5月撮影。)
特に近畿以西では、サルトリイバラという植物の葉をもともと昔から用いる習慣があり、これが「柏餅」でした。
サルトリイバラの葉であんこの入った餅を包み、葉ごと蒸しあげるのが正式な柏餅、という意見もあります。
江戸の柏の葉が先か、サルトリイバラが先か、のような議論もあります。
歴史的にはサルトリイバラの方が先のようですが、時代が下り、現代では、「諸説ある」ような感じになってしまってるのが実情ではないでしょうか。
私は徳島県出身ですが、徳島の「かしわもち」はサルトリイバラ、らしいです。
私が幼い頃食べたのは「サルトリイバラ」の葉でできたものだったのかもしれません。
しかし、葉の形を考えると、今の柏の葉だったような気もします。
40年前の保育園児の記憶なので、何にも定かではありませんが…。
昭和50年代、高度成長も過ぎたころですから、柏の葉を使った、「大量生産モノ」だった可能性もあります。
柏餅の葉は食べるもの?
最近柏餅を買って、和菓子屋さんに話を聞くと、桜餅「の葉は食べるけど、柏餅の葉はふつう食べません」とのことでした。
しかし、食べてしまう人もいるそうです。
桜の葉よりも、筋がありますし、固くて大きいので、食べづらいかな、と思います。
食べなくてはいけないものでもないので、自由に食べたり食べなかったりでいいのではないでしょうか。
柏餅は、みそあんもおすすめ!
柏餅は、つぶあんかこしあんか、という2択のように思いがちですが、じつは、「みそあん」も存在します。
作っている和菓子屋さんも結構ありますので、出会ったらぜひ食べてみてください。
おすすめです。
さいごに
今回は、「柏餅」についてお伝えしました。
柏の葉の特性から縁起を担ぎ、家運隆盛を願う武家から広まった習慣が、現代の柏の葉を使う「柏餅」です。
近畿以西では、サルトリイバラを使用した柏餅がメインである場合もあります。
葉の色が違うのは、明治以降の旧暦と新暦の事情による、というのも面白いですね。
柏の葉は、桜と同じく、非常にいい香りがします。
桜餅よりも、柏餅は武骨で質実剛健な、武家らしさを確かに感じます。
しかし、現在は、男女ともに子どもの日をお祝いする時代です。
毎月のようにある「季節のお菓子」のうちの一つとして、とても楽しみなものです。
いつか、サルトリイバラを使った、蒸した柏餅も食べてみたいなあと思います。
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